スキンダイビングのテクニック

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いよいよ水面移動から海中に入って行くテクニックを紹介します。
潜る前にひとつ知っておいて欲しいことがあります

●ハイパーベンチレーション
 急な深呼吸を数回ってから(ハイパーベンチレーション)潜ると、 浮上中にブラックアウト(意識を失う事)する危険性があります。
 危険ですので絶対にやらないで下さい。
 潜る前の深呼吸は、深く吐いて、深く吸ってから潜る、の一回にしましょう。

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1、耳抜き
 ここまでは水面移動の時に必要なテクニックでしたが、ここからは潜りのテクニックです。
 素潜りは周りに人がいて浅い所でしたら危険性は少ないですが、事故が起きると命に関わりますので、 十分な練習と体調を考えてやって下さい。
 とりあえずここでは5mまで潜る事を仮定します。

 なぜ耳抜きが必要かというと、水中では水深10mにつき水圧は1気圧も上昇すので、浅い水深からこまめに圧平衡をとらないと、 鼓膜の外側と内側で圧力に差ができてしまい、鼓膜が圧迫されて痛みを感じる事になります。
 いわゆる「耳抜き」とは、鼻の空気を耳管を通して鼓膜の内側に入れ、鼓膜の外側との圧力のバランスをとる事です。
 耳抜きをしないで潜り続けると、鼓膜が破れる危険性があります。
 鼓膜が破れると急に内耳が冷やされ、平行感覚が一時的に失われたりします。
 潜っていて耳が痛い、と感じた時は耳抜きのタイミングがちょっと遅いので、潜るのを一時停止して耳抜きを行いましょう。
 そのまま潜りながら耳抜きをしてもさらに圧力差が大きくなり、より耳抜きがやりにくくなってしまいます。
 うまくできない場合はおとなしく水面に戻って、再チャレンジしましょう。

 具体的な方法ですが、耳の構造が個々に違うのでこれがベスト、という方法はありません。
 以下に述べるやり方で、自分にあったやり方を探して下さい。
・鼻をつまんで鼻から息を出す、
・唾を飲み込む、
・下顎を動かす、
・鼻をつまんで唾を飲み込む、
 以上の複合技というのもあります。
 要するに顎の付け根にある耳管が開けばいいので、その付近を意識しながら色々と試して下さい。

 鼻をつままずに(片手使わずに)できると、潜行時の姿勢が崩れないし、慌しくないので便利ですので、チャレンジして下さい。

 水圧の変化は水深が浅いほど大きいです
 つまり水面から5mまでは1,0から1,5気圧で1,5倍ですが、5mから10mでは1,5から2気圧で気圧の差は1,3倍です。
 変化が大きいほど耳抜きの必要があります。
 具体的には潜る前に軽く一回、2,5mで一回、5mで一回といった感じが目安です。

 浮上時には逆に鼓膜内側の圧力の方が逆に高くなっていきます。
 潜行時より起きにくいと思いますが、鼓膜に圧力を感じたら浮上時にも耳抜きをするようにして下さい。

 潜る上での最大の関門はこの耳抜きです。
 いくら泳ぎの上手い人でも耳抜きができなければ、まったく潜れません。
 潜りに行く前の日や、潜る当日に陸上でじわっと耳抜きをして、鼻と耳を繋ぐ耳管を広げておくと耳抜きがしやすくなります。
 あまり思い切ってやると鼓膜をいためますので、加減してゆっくりと圧力をかけて下さい。

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2、潜る
 いくつか方法がありますが、代表的なものを紹介します。
●斜めに潜る
 ちょっと泳いで助走をつけ、上半身を下45度ぐらいに曲げます。
 腰まで水中に入ったなら、足を後ろにあげ、その重みで水中に潜っていきます。
 足が水中に入ってからキックを始めます。
 手は潜る瞬間には目指す方向に向け、腰が入ってから平泳ぎの要領で一掻きするとスムーズに潜れます。
 慣れてくると手を使わなくても潜れるようになります。。
 この方法は移動中にちょっと潜る時に有効で、ドルフィンスイムや水深の浅い所でよく使います。

●ジャックナイフ
 潜りといえばジャックナイフというイメージがありますが、水圧の変化が大きく、潜る動作が分かりにくいので、 上記の斜めに潜る方法と耳抜きをマスターしてからやって下さい。
 まず水面に浮いた状態で真下に目標を定め、腰を中心に回転するようにして上半身を垂直に折り曲げます。
 次に体がL字の形になる少し前に、両脚を伸ばしてそろえた状態で一気に振り上げます。
 そうすれば脚の重みで上半身はそのまま直下に沈んでいきます。
 足が水中に沈んでからフィンキックを始め、さらに潜っていきます。
 うまく決まると水深3mあたりまでは、ほとんどキックをしなくても沈んで行けます。

 上半身を折り曲げる時に、両腕を体側で軽く開くようにすれば姿勢が安定しやすいです。
 深めの水深を目指す時は、両腕または片腕を目標に伸ばした姿勢の方が、思った方向に行きやすいです。
 斜めに潜る時と同じく、潜り始めに手を一掻きするとスムーズに潜れます。
 

3、水中でのフィンワーク
 ゆっくりとした動作で、股関節を大きく使う事がポイントです。
 水面では体の後ろには蹴ることが出来ませんでしたが、水中でなら可能です。
 水中での速度が上がると膝関節を曲げない方がスピードが出ます。
 全身を使ったウェービング(ドルフィンキック)でも泳げますが、バタフライと同じ様に体のコントロールがやや難しいです。


4、マスクスクイーズの解消
 水深10mでは2気圧になりますので、顔がマスク内に引っ張られ、苦しい感じになります。
 顔にきつさを感じたなら、鼻から息を出して圧力を調整して下さい。(マスクブロー)
 ただし、例えばマスクの内容積が200ccだとすると、10mで200ccの空気を追加して吐くわけですから、かなり空気がもったいないです。
 浮上時には逆にマスク内の空気が余り、マスクが浮くような感じになりますので、鼻から空気を吸ってちょっとでも回収して下さい。
 このテクニックは水深15m以上潜る場合に非常に有効です。
 マスク内に水が残っていると、鼻から水が入って来るので要注意です。


5、浮力の調整
 潜ると肺の容積が小さくなり、体全体の浮力が小さくなります。
 ウェットスーツを着て潜る時には、軽めのウェイトがよいでしょう。
 水面に戻ってくる際に浮力が少ないと大変ですし、万が一水中で意識を失った際でも、浮力が十分あれば助かる可能性が増えます。
 経験的には12mぐらいから浮力が減ってくるのが分かります。

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6、陸上でのトレーニング
 筋肉は酸素を消費するので、いわゆる筋トレはあまり必要ありません。
 泳ぎの距離を積んで行く過程で、必要な筋肉がつけばいいのではないでしょうか。
 肺活量を上げる効果があるので、有酸素運動も有効です。
 
 足首の柔軟性は効率上、非常に重要です。
 足首を平行にした正座姿勢から、後ろに倒れるようなストレッチが有効です。

 横隔膜を鍛えるヨガや逆立ちなどもトレーニングとしてありますが、ちょっと難しそうです。


7、息こらえのトレーニング
 どんな人でも確実に時間が延びるのが息こらえです。
 息が苦しくなるまでには、肺の二酸化炭素の割合が高くなっていくのを脳が刺激として受け止め、 苦しいので呼吸しろという指令を出すというプロセスがあります。
 息こらえを繰り返す事で、脳からの指令を遅らせる事ができます。

 まずは鼻をつまんでやってみましょう。
 ストップウォッチを見ていると、この辺でいいや、となってしまうので、見ない方が良いでしょう。
 インターバルを2分以上空けて、限界までやってみて下さい。
 限界とは横隔膜が苦しくなってピクピクし、耳がジーンとしてくる感じです。
 目がチカチカしてくるまではやらないで下さい。酸欠一歩手前です。
 あと、格闘技の締めと同じ様に失禁する場合があるので、トレーニング前にはトイレに行った方が安全です。
 一日5回ぐらいで2週間も続ければ2分以上は確実に息こらえができるようになっています。
 さらに時間をのばすにはは息をこらえながら運動したり、水平潜水をしたりといったトレーニングがありますが、 フリーダイビングをやる人意外には無縁ですし、危険を伴いますのでここでは省きます。

 実際に水中で時間を伸ばすコツですが、緊張しない事です。
 脳は酸素を多く使うので、不安になったり緊張したりすると息こらえの時間が短くなります。
 水温が暖かい方が時間が延びるようなので、その為にも保温性のある装備を着けた方が良いようです。

●参考になる文献
 イルカと、海へ還える日  ジャック・マイヨール 講談社
  自叙伝ですが、最後にトレーニング方法が書いてあります。