アカガシラカラスバトの危機
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(一部建設中・暫定版)
現在絶滅の危機に瀕しているアカガシラカラスバト(Columba janthina nitens)についてまとめてみました。
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1、特徴
(1)特徴
鳥類 ハト目ハト科 種カラスバトの1亜種 小笠原固有亜種
大きさは全長40cm程度と大型。
全体に黒色であるが、頭上は光沢の少ないブドウ赤褐色、頭頸部や胸部は紫色や緑色の金属光沢を帯びる。
くちばしは黒く、下顎と喉はぶどう褐色、足は赤色をしている。
(2)指定
絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律の「国内希少野生動植物種」 (平成5年2月:環境庁)
その他に小笠原諸島に生息する鳥類で指定を受けているものはアホウドリ、 メグロ、オガサワラカワラヒワ
文化財保護法の「天然記念物」(昭和44年4月:文化庁)
その他に小笠原諸島に生息する鳥類で指定を受けているものは、メグロ(特別天然記念物)、オガサワラノスリ(天然記念物)
レッドデータブックでは絶滅危惧IB類として掲載(平成10年6月:環境庁)
絶滅危惧1B類:環境庁が国内の希少動物を絶滅危険度に応じて分類したレッドリストの中で
「近い将来における野生での絶滅の危険性が高いもの」を指す。
具体的には、最近10年か3世代のうちに生息数が半分以下に減少▽成熟個体数が250未満、などの条件にあてはまる生物
詳しいカテゴリについてはこちら
鳥獣保護法で環境庁長官が「保護繁殖を特に図る必要がある鳥獣」として指定(平成12年2月:環境庁)
東京都の「保護上重要な野生生物種1998年版」でAランク(平成10年3月:東京都環境保全局)
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2、分布と個体数
●文献からの抜粋
http://www2.kankyo.metro.tokyo.jp/sizen/akagashira/kentoukai1/besshi.htm
父島の生息数は一番のオスメスのほかに2羽、計4羽(H14.12 高野氏)とされる。
父島の生息許容数は現状の森林面積などから十番以内と推定されている。
http://www.env.go.jp/press/file_view.php3?serial=1786&hou_id=2329
環境保全研究発表会・発表課題の概要
個体数が50羽以下と見られるアカガシラカラスバトは、シマホルトノキなど固有樹種の種子に依存しており、 この亜種の存続は本来の森林の再生にかかっている。
http://ss.ffpri.affrc.go.jp/labs/bonin/1995J.html
小笠原森林生態系の修復・管理技術に関する研究 (研究期間 1995-1999)
アカガシラカラスバトColumba janthina nitens の個体数は40と推定された。
http://www.mainichi.co.jp/news/selection/archive/200010/01/1001m156-400.html
1997年1月の林野庁の調査では、生息数を50羽未満と推測していた。
しかし、その後に小笠原諸島を次々に襲った大型台風の被害でえさの木の実が不足して激減したとみられている。
また、アカガシラカラスバトにとって天敵となる野生化した猫やネズミが増えていることも原因とされている。
http://www.shinrintokyo.go.jp/kisyou/kisyou.htm
父島では5〜6羽、弟島では7〜8羽、聟(むこ)島では2羽、母島では15〜17羽が生息していると考えられ、 小笠原諸島(火山列島を除く)全体では30〜40羽程度と考えられており、小笠原の野生動植物の中で特に存続の危ぶまれる種です。
(日本鳥類目録1949)聟島、媒島、嫁島。父島、弟島。母島、平島、姪島、姉島
(日本鳥学会1974)聟島、媒島、嫁島。父島。母島、平島、姪島、姉島。北硫黄島、硫黄島
(環境庁、1975,1982)弟島、南硫黄島。
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●島別のまとめ
聟島列島
最近では1992年に1羽が目撃されているが、聟島には沢沿いに森林がわずかに残る程度であり、アカガシラカラスバトが生息できるとは考えられない。
父島列島から飛来した個体ではないかと考えられる。
父島諸島
弟島は高木林が発達している地域があり、アカガシラカラスバトの生息に適していると思われる。
現在でも数羽が生息している可能性は高いと考えられる。
しかし、移入種のブタ、ヤギ、ネズミによる種子害がある。
兄島では少数ながら生息していると思われる。
兄島は乾性低木林が主体である事から、それほど好ましい生息環境ではなく、個体数は多くないと考えられる。
父島から飛来してくる事も考えられる。
父島ではほぼ全島で生息が確認されている。
母島諸島
母島は小笠原諸島で最も出現個体数が多い。
シマホルトノキ−ウドノキ群落の湿性高木林にアカガシラカラスバトの餌となる木が多い。
向島では1980年代に生息を確認、1996年に鳴き声を確認している。
妹島ではかつては生息の記録があるが、
姉島での生息の情報は無い。
硫黄列島
南硫黄島で鳴き声が数回確認されている(塚本1982)
現在も数羽生息している可能性は高いと考えられる。
北硫黄島でも生息が確認されている。
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3、繁殖生態
繁殖時期はカラスバトの例や、観察結果から10月中旬から3月頃までと推定される。
一腹卵数は1卵であると考えられる。
伊豆諸島のカラスバトは一腹1卵であり、山口県の牛島のカラスバトは1卵で、まれに2卵とされる。
営巣時のヒナは、1羽であった。
営巣場所だが、観察記録から樹上、地上の両方で営巣が確認されている。
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4、餌
採餌物の種類
主な採餌物
シマホルトノキ、アコウザンショウ、ムニンシロダモ、キンショクダモ
食べた事が確認された物
センダン、モクタチバナ、コヤブニッケイ、アカテツ、チョウセンハゼ、ヒメツバキ、オオバシロテツ、ヒメツバキの実、
タイワンソウジュ、イヌホウズキの青い実、パッションの種子、パパイヤ種子、タカノツメ、ヒマワリの種子、黒米
ミミズ
採餌行動
1996年12月母島の観察で、アカガシラカラスバトは活動時間のおよそ8割以上を採餌行動に費やしていた。
効率よく餌を発見できる採餌場が少なくなっており、餌資源量は不足傾向にあると推測される。
落下種子の不足は、ノネズミ類との競合がある。
ほとんどが地上での採餌。樹上の採餌にはあまり適していない。
果肉がついている場合は、果肉を剥いだ上で中の種子を丸呑みする。
まだ熟していないものについては、果肉がついたまま丸呑みする。
ムニンシロダモのように果肉のほとんどない果実についてはそのまま丸呑みする。
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5、減少要因
(1)餌の減少
・台風により、餌となる木が被害を受け、餌が一時的に減る。
・アカギにより、固有植物が減っている。
アカギが上木に侵入した森林面積は、父島で2.7%、母島で11.1%である(清水1992)
固有種のメグロが種子散布をしている。
アカギの落下した健全種子数は、シマホルトノキの14倍。
実生発生のピークは雨季後(5月〜7月)だが、小笠原の気温幅では1年中発芽可能である。
恒常的に実生が発生する事は、ギャップなどが出来た際に、他の樹種に先駆けて生育サイトを占拠するのに貢献している。
・ノネズミと餌の競合
小笠原諸島で生息を確認されているネズミ類は、クマネズミ、ハツカネズミ、ドブネズミの3種
森林にいるのはクマネズミ、ハツカネズミ
シマホルトの落下種子の食害状況を調べたところ、80〜90%の種子がネズミ類によって食害されていた。
ネズミ類は樹上でも採食している。
ネズミ類による食害がシマホルトノキの天然更新を阻害している可能性がある。
クマネズミは熱帯のジャングルが原産地と考えられており、地表より樹上での行動を好む。
営巣地も樹洞や樹上を選ぶ事が多い。
性質はかなり神経質で、飢餓や渇きにも強い。
クマネズミの野外での生態研究は、殆どされていない。
常に硬いものを齧る性質があり、シマホルトノキやタコノキの種子が食害を受けている。
(2)被害
・ノスリ等の猛禽類からの被害は以前からあった。
・ノネコからの被害は不明だが、抱卵数が1年に1個と少なく、個体数が増えにくい状況ではかなりの脅威ではないか。
母島でトラツグミ、ハハジマメグロのノネコによる被害を確認している。
1998年の母島のノネコの推定は60頭ほど。
以前は沖村等の集落付近に限られていたが、最近では奥地の石門地域の森林まで拡大している。
父島の全域でノネコのフンを確認。弟島でもフンを確認している。
・道路沿いにウズラの卵を置いたところ、数個が消失、移動していた。
ノネズミが卵を食害している可能性もある。
(3)個体群として存続可能な個体数を割り込んでいる。
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5、今まで行ってきた、及びこれから行う、ハトに関係する事業
東京都
・アカガシラカラスバト保護増殖事業について
http://www2.kankyo.metro.tokyo.jp/sizen/akagashira/index.htm
平成13年 3月 父島で3羽を捕獲し、恩賜上野動物園へ搬送。検査の上、飼育を開始
4月 ヒナであった1羽も順調に生育。オスと判明。
平成14年11月 飼育ペアから1個の産卵があり、初のヒナ(メス:推定)が誕生。 オス2羽、メス2羽合計4羽の飼育となった。
平成15年 2月 飼育ペアから1個の産卵(1月)があり、2羽目のヒナが誕生。
3月 2羽目のヒナの巣立ちを確認しました。 オス2羽、メス2羽、不明1羽の計5羽の飼育となった
6月 3羽目のヒナの巣立ち
・アカガシラカラスバト保護増殖事業検討会の設置
http://www2.kankyo.metro.tokyo.jp/sizen/akagashira/kentoukai1/gaiyou1.htm
生息数や採餌木の分布などを継続的に調査するとともに、島間の移動についても明らかにしていく必要があると考える。
なお、ペアの行動について小笠原支庁を通じて監視する予定である。
父島のハトについては、餌不足やネコのリスクを考えると、全数捕獲を目指したい (当面は上野へ搬送)。
雛の誕生があり、やがて上野が手狭にもなる。ハトのためには現地での事業展開がベストであり、早期に飼育施設と体制を整備したい。
維持管理面から既存の類似施設に付随させるのが現実的と考え、16年度開設を目途に亜熱帯農業センターなどと調整していく。
技術指導には動物園のスタッフがあたることとなる。
ネコについては引き続き村役場にお願いしたいと考えている。
ネズミについては餌の競合があり、地元の方々に協力頂くなどして効果的に駆除する方法がないか検討したい。
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林野庁
・保護林の設定により、生息環境を保全
1、生態系保護地域の指定
目的:原生的な天然林を保存することにより、森林生態系からなる自然環境の維持、動植物の保護、
遺伝資源の保存、森林施業・管理技術の発展、学術研究等に資する。
小笠原母島東岸森林生態系保護地域
2、植物物群落保護林の指定
目的:我が国又は地域の自然を代表するものとして保護を必要とする植物群落及び歴史的,
学術的価値等を有する個体の維持を図り,併せて森林施業・管理技術の発展,学術研究等に資する
瀬戸見晴台植物群落保護林
焼場海岸植物群落保護林
ツツジ山植物群落保護林
中央山東平植物群落保護林
母島植物群落保護林
桑ノ木山オガサワラグワ等植物群落保護林
夜明平植物群落保護林
向島植物群落保護林
東山ムニンビャクダン等植物群落保護林
獅子岩オガサワラアザミ等植物群落保護林
中ノ平マルバシマザクラ等植物群落保護林
万年青橋ハハジマトベラ等植物群落保護林
南崎ツルワダン等植物群落保護林
・希少野生動植物種保護管理事業【林野庁】
平成12 年度においても継続実施予定。
「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」に基づく国内希少野生動植物種のうち、 国有林内に生息・生育するものを対象に巡視や生息・生育環境の維持・整備等を行った。(平成11 年度予算:110,741 千円)
・保護林保全緊急対策事業【林野庁】
平成12 年度においても継続実施予定。
入林者の影響あるいは生育環境の悪化等が見られ、設定目的に照らした適切な保全管理上、 緊急に保全措置を講じることが必要なものに対して新たに保全対策を講じた。(平成11 年度予算:100,289 千円)
→南島で実施。ハトにはあまり関係ない。
・小笠原国有林の取扱いに関する検討委員会の設置
・保安林の設定
・父島、東平地区におけるサンクチュアリの設定。
約28haを設定した。
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環境省
・国立公園の指定
・林野庁と共同して世界遺産の選定。
・鳥獣保護区の指定と管理(鳥獣保護及狩猟二関スル法律)
・国設鳥獣保護区特別保護地区の指定 H11.11.01〜H21.10.31
小笠原諸島(鳥獣保護区5899ha、特別保護区1331ha)
当該地域は、小笠原諸島鳥獣保護区のうち聟島列島に属する島しょ、父島列島の南島及び母島を除く母島列島に属する島しょの区域。
ハハジマメグロ、オガサワラノスリ、アカガシラカラスバト及びオガサワラカワラヒワの繁殖地であるとともに、 クロアシアホウドリ、コアホウドリ、オーストンウミツバメ等の希少な海鳥類の生息地となっている。
今般、鳥獣保護区特別保護地区 1,331haについて、平成11年11月1日からの10年間を再指定する。
・絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」に基づき、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存を図るために、 国内希少野生動植物種を指定している。
・南硫黄島原生自然環境保全地域 367ha 指定年月日S50.5.17 全域立入制限地区(58.6.2指定)
自然環境保全法の規定に基づき、原生自然環境保全地域(自然環境が人の活動によって影響を受けることなく 原生の状態を維持している区域)及び自然環境保全地域(原生自然環境保全地域以外の区域のうち、
自然的社会的諸条件から見て自然環境を保全することが特に必要な区域)を指定することとなっている
・国立機関公害防止等試験研究の予算→森林総研の研究へ
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文化庁
天然記念物 指定年月日 1969.04.12(昭和44.04.12)
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小笠原村
「小笠原飼いネコ適正飼養条例」により、ノネコの増加を抑制。
父島でノヤギの有害駆除を実施
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研究機関など
森林総合研究所、大学、日本林業技術協会、地元NPOなどが、調査の実施主体
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6、今後やって欲しい事業
(1)ハトの正確な現在数の調査
硫黄列島についてはまったく調査されていない。
弟島についても、継続的な調査はされていない。
同時期に全島で実施する頭数調査を継続的に行う。
足輪をつけてからの再捕獲により、個体数を推定する。
島間の移動についての調査。
(2)遺伝学的な調査、生態のより詳しい調査
島間でどのくらい遺伝子が異なっているか、調査が必要。
足輪による固体識別から、寿命やなわばり等の調査。
餌の少ない時期、目撃が少ない時期の生態調査。
(3)ハトの生息環境を考えた生態系回復事業
特に母島ではアカギが繁茂し、アカガシラカラスバトの餌となる木を圧迫している。
国立公園、保護林、保安林等の規制はあるが、積極的に植生回復を進める。
規制があるから手を出せないのでは、本末転倒である。
アカギの駆除を林野庁が進めているが、駆除からの遷移をどのようにコントロールするのか。
水分、日照、土壌などの条件を考えた樹種選定と、場所によっては費用のかからない天然更新の推進。
ローコストな固有種増殖のシステムを作る。
また、それらを判断できる人間を現地に増やす。
餌木の豊凶の把握。
種子のネズミ食害の把握。
(4)固有種増殖のシステム作り
国有林、東京都の事業で固有種を増やしているが、そのノウハウが島にフィードバックされていないように思える。
種の採取、発芽率、植え戻す環境などの基本的な技術を研究、公表する。
土地の狭い小笠原ではあるが、畑以外の林床栽培や、プランター等移動できる増殖方法も考える。
島民が気軽に参加できる仕組みづくりを作って欲しい。
小中学校で、固有植物の増殖を体験させる。
島間の種子の移動は遺伝子の混乱を招くので、きちんと規制すべきであるし、その広報も必要。
(5)ノネコの対策
小笠原村ではネコの登録制度があり、ノネコ増加防止にはある程度の効果はあると思われる。
しかし、都営住宅で無許可で飼っている人は、村へ登録しない事実もある。
小中学校、村民へネコによる野鳥の被害についての教育が重要である。
都と村は関係ない事を、暗にアピールし、都住でのネコの登録を進めてほしい。
もしくは都住以外に住む人の住所を借り、そこで登録するよう、暗に呼びかける。
首輪をしていないネコの積極的な避妊手術の推進、もしくは島外搬出。
首輪の装着率が悪い場合には、飼い猫に対してのマイクロチップの埋め込みを義務化。
住民登録の際や、船に猫ゲージを積んできた人に対しての広報の徹底。
野生繁殖しているノネコの捕獲。処分もしくは島外搬出。
村の単独事業では厳しいので、国や都から予算が付くとありがたい(マングースの例)
野生で繁殖しているノネコは、愛護動物のノラネコでは無く、無主物で有害鳥獣のノネコであるという方向で議論を進めてもよいのでは。
弟島でノネコのフンが確認されたので、弟島でも駆除を実施する。
(6)ノネズミの被害
ノネコによって増殖が防がれている部分もあるので、ノネコ対策の事業と合わせて行う。
分布の調査、アカガシラカラスハトと競合している地域の特定。
都市のクマネズミはある程度研究されているが、森林のクマネズミについてはあまり研究されていない。
捕獲方法の研究をすすめる。
殺鼠剤の使用は、直接捕食するノスリや、腐食性の昆虫にどのような影響があるのかを考慮した上で実施する。
属島などの小さい島で、全島駆除の実施を考えてみてはどうか。
種子への被害の継続的な調査と、そこからネズミの分布、密度を推定する。
(7)ノヤギ、ノブタの対策
ノヤギ、ノブタによって植生の更新が阻害されている箇所がある。
弟島ではオガサワラグワの更新が阻害され、木も弱ってきているので、これらの駆除をすすめる。
有害鳥獣駆除を行える人間を、現地に増やす。(狩猟免許)
(8)餌場、水場の整備
ノネズミの駆除と平行して進めていかなくてはならないが、給餌をしてもよいのではないか。
常時、餌の少ない季節、台風で食料が無くなった時などの緊急時、などの実施期間は、生態や実施体制を考慮して決定する。
特に大きい台風が来た年には、給餌をする必要があるのでは。
ネズミ対策を考慮した餌場、餌台、給餌エリアの作成。
種子餌の確保、餌の種類、場所の設定、巡視方法、給餌体制など。
(9)現地ワーキンググループの設置、運営
東京都、林野庁、環境省、小笠原村、研究者、NPOなどの組織があるが、日常的に情報を交換し、事業を進める体制が整っていない。
父島奥村にハトが降りてきた時に、特にその体制の不備が感じられた。
それぞれの担当できる範囲があるので、縦割り行政があるのはしょうがないが、意思の疎通はしておくべき。
行政に関わる人、NPO、ガイド、山に入る人に対して、担当部署をはっきりさせておく。
小笠原諸島の自然保護、管理について、統一された方針が無い。
都知事、東京分局長が変わると、行政の方針が変わるようではどうなのか。
自然という物は5年、10年といった短い時間ではなく、数十年という長い時間を考えなければいけないのでは。
小笠原を政治ゲームの舞台にしてはいけない。
支庁、国有林課、環境省の担当者は2〜3年程度で交代してしまう。
まったく小笠原について知らない担当者が引き継ぐ事もあり、それが事業をスムーズに進ませない原因にもなっていると思われる。
内地という一歩引いた視点から、広く小笠原を見る事も重要であるが、内地の行政が横の連絡を密にしているとは思えない。
小笠原村の職員や、NPOといった地元に根付いた組織の方が、人が変わらないので継続性がある。
地元主体のワーキンググループを作る事により、継続的な事業と、情報の積み重ね、すばやい対応を実現する。
(10)観光客、ガイドやオーバーユースの対策
TSLが小笠原に就航する予定であり、観光客の増加が予想される。
むやみ人が入らないエリアの指定と、周知。(逆に情報を与える事にもなるので注意)
船の中での諸注意の案内。
例えばガイドや、山に入った人が、アカガシラカラスバトを見たとする。
その情報をまとめる窓口、組織が無い。
森林利用のガイドラインの作成。
観光客の増加により、山に入る人が増えるので、マナーの向上や、ある程度の規準を設けて広報するなどする。
ルートをある程度整備する事で、ルート以外への入り込みを防ぐ。
国有林の入林届の問題を整理する。
作業を伴うエコツアーの実施
(固有種の増殖、移入種の除去など)
(11)施設の活用
ハトの増殖施設が小笠原に出来た際に、施設を有効的に使えないか。
ビジターセンター、海洋センターと並び、雨の日の観光利用施設としても使えるようにする。
海洋センター的に入場料を取る方法や、募金箱を置いて資金を集め、保護活動に使うのはどうか。
集まった資金はハト限定ではなく、NPO主体で植栽とか、移入種除去とかのイベント、広報に使うなどすれば、理解も得やすいのでは。
島民、観光客が参加できるボランティア活動を開催する。
(固有植物の増殖、餌の種の採取とか)
作業量が確保できるか、受け入れ側スタッフの問題などがあるが、広報的意味もあるのでどうだろうか。
(12)広報、普及啓蒙
小笠原の自然全般に言える事だが、島民や観光客が、特殊な生態系の中にいる事を充分理解していない
アカガシラカラスバトについても、なんとなく聞いた事はあるが、いつのまにか絶滅していた、という事になりかねない。
観光客は短期であり、どちらかというと海のレジャーが中心なので、陸上の生態系に与える影響はあまり大きくないかもしれない。
住民、特に数年しか住まない公務員とその家族、滞在数年以下の長期バイトに対しての、広報が足りないのではないのか。
小笠原の将来を考える程、島に根付いてはおらず、島の将来を考える事が無い。
しかし、観光客に比べ、口コミの情報や詳しい人との人脈があるため、山に入る機会が多く、自然に与える影響は確実に大きい。
(ワラビ取りや磯釣り、サーフィン、千尋行きなど)
自分の関わっている情報グループ内の合意や、暗黙の了解しか規制が無く、島共通の規制認識が無い。
問題のある例をあげると、以下のような物がある。
・海中公園地域での釣り(規制地域の認識不足と、取締りが無いこと)
・ワラビ取り(誰の土地か、規制地域の認識不足)
・山での遭難騒ぎ
・子猫の放獣、外国産カブトムシやフェレットの飼育(小笠原という土地の認識不足)
利用を規制する事が目的ではないが、彼らにとっては「小笠原はちょっと変わった島」程度の認識であり、 「何が生息しているか」「何をしてはいけないか」といった事に付いて考える機会が無く、情報も無い。
「あそこは入らないほうがよい」「あれはやっちゃいけない」というレベルの共通の認識を持つ必要がある。
島民は、自分の住んでいる特殊な環境を、理解する必要がある。
理解していない島民にとっては、世界遺産など余計な規制がかかるからやらない方がよい、と言われかねない。
世界遺産や重要管理地域の指定は、利用と規制の折り合い、行政と住民の関係を考える良いきっかけとなると思うので、この機会に議論する場と、情報を提供して欲しい。
希少な野生動植物は地味かもしれないが、イルカやサンゴ礁と同じ、村民の財産と考えてみてはどうだろうか。
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アカガシラカラスバト関係リンク集
森林総合研究所 小笠原森林生態系研究グループ
母島観光協会/「母島鳥情報・植物情報」最新版
小笠原生態系掲示板