三河屋4-1
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117 名前:774RR :2006/01/30(月) 17:12:27 ID:/VMXVReH
「アノ噂が本当なら、そろそろ..か、」
キンと引き締まった静寂の中、パラパラと乾いた排気音を奏でる愛機RZ350
一人ゴロワーズの煙を燻らせながら迎える明け方の大観山は、
暦の上では既に初夏と言うのに冷えた風が心地良い。
ふと目を瞑り、30を超えて尚オフェンスを求める心に
アスファルトに散っていったかつての仲間の顔が浮かぶ
「こんな事してなんになる?」
そう呟きかけたその時
「カ〜アァァァァァァン カン カァァァァァァ〜」
遙か彼方より静寂を切り裂き迫る排気音に気づき、
一瞬体内全ての血液が沸騰する錯覚に陥る...
「奴か?」
弾かれたようにメットを被り、もたつく指に苛立ちながら顎ヒモをきつく締め
迫り来る特有の排気音を目で追うカツオ。 続く。。。。。
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125 名前:774RR :2006/01/30(月) 19:37:23 ID:/VMXVReH
「今日もイケイケだぜッ」
エースナンバー01を付け、豪快なフロントアップでギャラリーコーナーから出て行く中島のRZ250
「冷静」と言う言葉さえ否定し、
自らを熱狂の中に置くことでようやく正気を取り戻す十代の魂(ソウル)は、
焦げたカーカスを撒き散らしながらアスファルトの上で覚醒する。
「なんか変だな?」
いつものように4コーナー程タイヤと膝にアタリを付け、
300m程前を走る中島を追うため加速体制に入ったその時、
カツオの脳裏に一抹の不安がよぎった。
「カァァァァァァァァン カァァァァァン」
その時遙か後方から雄叫びの如く迫る2st独特の排気音、
「は、速い....」
咄嗟にアクセルをワイドオープンさせ、暴れるリアタイヤ押さえながら短い直線を終える辺りで
後方だった筈の排気音はカツオのKRをパスし、
フロントをフルボトムさせハイサイドぎりぎりの状態でコーナーをクリアしていった。
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144 名前:117 :2006/01/30(月) 23:52:53 ID:TRnDDD5p
「くぅはッ」
抜かれた瞬間の衝撃にブレーキングが一瞬遅れ目の前に迫るガードレール
今まで経験した事の無い渾身のフルブレーキングだが、
無情にもタイヤはその限界をとうに超えていた。
「くそッせめてリアから....」
スリップダウンとはいえ辛うじて谷底への転落を免れたカツオが見たものは
転がるKRを一瞬振り返ったライダーの嘲笑うようなリフトアップだった。
「中島....」
焦げ臭いツナギの臭いと、血反吐(オイル)を吐く愛車KRを傍らに呟いた台詞が、
果たして彼とRZに届いただろうか?
「グワシャ〜〜〜ンッ ガガー」
嫌というほど聞きなれたアスファルトと金属の擦れる音に一瞬アクセルを躊躇った中嶋だが、
迫り来る気配に01のプライドが膝をタンクに押し付けさせる。
「カァァァァァァ〜ン」
迫る排気音が、この峠一のテクニカルコーナーに向かう中嶋のRZに迫る
「ヘッ上等じゃねーか」
一瞬の躊躇いさえあったものの
切り替えしからブラインドを狙う中島と愛車RZにはまだ余裕があり、
ラインもあとタイヤ一つ半はインに持って行けるはずだった。
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163 名前:117 :2006/01/31(火) 16:07:23 ID:cFfa/QvO
切り返しで伸びたFフォークを右ブラインドコーナーに向かうブレーキで十分に縮ませ、
中島のRZが跳ねるようにコーナーに向かう、
このコーナーはかつて中島が、峠の怪鳥と謳われた深紅のGSXR400を駆る
その当時無敵を誇った「Rt:TOSHIBA」の01、そうマスオを叩き落とした場所だった。
「へっ着いてこれるかこれるかよ?」
ブレーキリリースからバンクに入り、足腰でしっかりとホールドしたRZは
僅かにリアタイヤがバタツクものの、ピッタリと路面に吸い付き離さない。
しかしコーナーのRはこの先更にきつくなり、
ココを抜けるにはcp後に更にバンクできる余裕を持って入るか、
諦めてcpまで減速しインベタで回るしかない。
ただ、今や峠一のアスファルトダンサーである中島の走りはそのどちらでもない。
「余ッ裕〜」
CPの手前で一瞬半クラにさせ、間髪入れずスロットルを煽る
丁度7000rpmで始まるパワーバンドに針を叩き込みクラッチを繋いだとたん
横方向に限界までグリップを使うリアタイヤは悲鳴を上げ焦げ臭い匂いを吐きつつ横にスライドを始める.
左方向に滑るマシンに対し、左ステップを蹴り強引に立て直す中島
そしてそのリアタイヤがスライドを止めた時、既にRZのフロントは出口を向いていた。
「決まった」
ここからは4速全開レッドまで回せる長い直線、
図ったようにタコメーターの針は7500rpmを指している
持ち上がるFフォークを押さえつけながらRZが全開加速を始めたその時
遙か後方に有ったはずの排気音が間近に迫る。。。。。
「馬鹿な?俺より早くあそこを抜けたって?」
重なる排気音で一瞬身震いしたその刹那、深紅のマシンが中島を抜き去って行く
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187 名前:117 :2006/02/01(水) 10:58:57 ID:bTFWpElj
「チクショー!!!!!」
抜かれた時の衝撃が大きい程、イコール脱出速度の違いを物語り、
コーナリング速度の違いも加わって中島のプライドに火を付け、
右手を捻り上げ前のマシンを追う、.........しかし、
なんと前を行くライダーは、マシンのハンドルポストから両手を離し、
追いすがる中島のRZをあっさりとパスさせるではないか。
「ヤロー!あくまでおちょくるつもりか?」
しかし抜きながら深紅のマシンとそのライダーを確認した中島に衝撃が走る...
深紅のRG250Γを駆るそのライダーこそ、
かつての「RT:TOSHIBA/02」サブだったのだ。
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189 名前:117 :2006/02/01(水) 11:44:47 ID:bTFWpElj
「サブさん、サブさんなのか?まさか..」
ドクドクと速まる心臓の鼓動が中島を息苦しくさせ、
グハッっと堪らずに吐いた息がシールドを曇らせる。
..........今から3年前。
当時XJ400で暴走行為を繰り返し荒れ狂う中島に、
バイクの楽しさ・厳しさ・ライダーとしての喜び、
そして峠の全てを教えたのが250Γに乗るサブだった。
時は経ち、
当時のNo1:GSXR400/マスオを叩き落としたことで
最速の称号を手に入れた中島は有頂天だった。
ライダーとしてのモラルや峠のルールなどはただ敗者の論理でしかなく、
同時に自分より遅いサブの言う事など、
負け犬の遠吠えとしか聞こえなくなっていた。
そう、あの複合コーナーでスリップダウンする中島を庇い、
200m下の谷底に深紅のRG250Γが消えるまでは....続く?