FCRスレ、課長シリーズのまとめ 

トップ > 2ch > FCRまとめ > まとめ1


【復活】 FCR物語 【フリチソライド】
http://hobby4.2ch.net/test/read.cgi/bike/1071662137/
1 :774RR :03/12/17 20:55 ID:E2QrFej8

--------------------------------------------------------------------------------------------------
職人さんの手によるFCR物語が面白かったので、保存しておきます。
連番はこちらで付け直しました。

見られなかった過去ログですが、保存している方から頂きましたので、「こちらに保管」しました。
作者さんからご指摘がありましたので、係長の名前を一部修正しました。
1ページの容量が大きくなり、まとめにくくなりましたので、ページを2つに分割しました。

■目次■
part1------
FCRな課長物語 1〜12

FCRの係長物語 1〜11
FCRの係長物語 12〜15 (2003.10.31格納)
FCRの係長物語 16〜18 (2004.02.17格納

part2------
FCRに新入社員物語 1〜8
FCRに新入社員物語 9〜16 (2003.11.04格納)

OPRレディ物語 1〜6
FCRね相談役物語 1〜5
FCRだ派遣社員 1〜4 (2004.01.05格納)


■登場人物の補足
H課長 4発乗り
S嬢  CB400SS 免許を取ったばかり
Y君  D−トラッカー 去年入社
D係長 TS200R
A相談役 MH900R
派遣社員 チョイノリ

--------------------------------------------------------------------------------------------------
FCRな課長物語 1    △このページの目次に戻る△

「お茶入りましたよ」涼しい声が上から降ってきた。
「お、ありがとう」言いながら顔を上げると、S嬢がニコニコと湯飲みを置いてくれてる。
「どう?最近どこか行った?」と聞くと「ええ、この前箱根の方まで足をのばしました」
「風が爽やかで、すっごく気持ちよかったですよ」と、さらに笑顔がはじける。
S嬢は中型免許を取ったばかりで、新車の400単気筒を買い景色の良いところを
探すのが、最近の楽しみなのだそうだ。
「くれぐれも安全運転でね、ケガしたらつまんないから」私が言うと
「わかってますよ〜、でも楽しいですねバイクって」とS嬢は答えた。
「課長はどのへん走ってるんですか?」と聞いてきたので
「そうだなぁ、季節もいいしそろそろFCRかなぁ」と返すと
「FCRってなんですか?」と尋ねてきた。
「うーん、説明するのが難しいなぁ、一言で言えば極めたライディングの一つのスタイルだね」
「え〜、なんか面白そう、どんな乗り方なんだろう?」とわからない様子
「まぁ、そのうち説明してあげるよ、経験が少ないとなかなか難しいから」とお茶を濁した。

ホントは「チンポコで風切るのはサイコーッ!やーい、持ってねーだろー!!」とキヨシローばりに
シャウトしたかったが、窓の外に広がる青空を眺めて「どこか行きたいなぁ」と
つぶやくにとどめた午後3時43分....

-------------------------------------------------
FCRな課長物語 2

目線ははずしたまま、携帯を着信音設定にする そして着信音選択を切り替えると軽快な着メロがなり出す。
さも、今気づいたような顔をしながら「おっ!」と軽く驚いてみせると
「誰から?」と妻が聞いてくる「ん、ああ、サテンのマスターだよ」と答えメールを読むふり...
家に帰ったリーマンは抜け出す理由を作るのにも、しっかりとした言い訳の効くひとひねりが必要なのだ。
絶対に、誰にもばれてはいけない珠玉の時間をスタートさせるためには、手の込んだ一芝居も
面倒くさがってはいけない。

「ちょっとお茶でも飲んでくるよ」妻に声をかけ、さりげなく様子をうかがう。
妻は夕刊のラテ欄を見ながら、深夜映画の録画予約をリモコンで打ち込むのに一生懸命な様子
表情に出さず心の中だけでニヤリと笑い、居間を出てクロゼット代わりに使っている狭い4畳半の部屋に入る。
デニム素材の薄いシャツの上にメッシュジャケットを着込み、ちょっとゆるめのブーツカットジーンズをはく
部屋の隅に置いてあった、深みのあるブラックに塗られたフルフェイスヘルメットを手に取り
シールドについていた汚れをウェスでぬぐう。
玄関のドアの前まで行くと、居間から「気をつけてね〜」と妻の声
「2時間ほどで帰ってくるから」と返事をし、去年買い換えたエンジニアブーツをはく

-------------------------------------------------
FCRな課長物語 3

7階の自宅からエレベーターでエントランスまで降り、駐輪場まで歩く
街灯の中ぺちゃくちゃとしゃべりながら歩いてくる塾帰りの子供たちとすれちがう
駐輪場にはいつも通り、銀色のカバーをかぶった4発が静かに体をかしげて待っていた。
カバーをはずし、簡単に丸めて駐輪場の隅に置いてあるプラスティックケースにしまう。

右足をできるだけ大きく振り上げ、勢いをつけて4発にまたがる。
車体を垂直に立てヘルメットをかぶりあごひもを締めグローブをつけ、キーをONの位置までひねる。
チョークノブをいっぱいに引きセルボタンに軽くふれると、いつものようにクランクが
回るか回らないかで4発は目覚めた。

アイドリングを、極力低回転に抑えるように気を配りながらエンジンが落ち着くのを待つ
駐輪場からまたがったまま4発を押しだし、スロープを下り込んで路肩で気持ちのセルフチェック
住宅街に静かに響く4発の音、そしてあたりには誰も歩いていない。
「よし、今だ」心の中で静かにつぶやき、ジーンズのチャックを半分までおろす。
いつものオーバーパスまではチャックは半開で静かに行く、そこから先は....

漢の夜が静かに幕を開ける......

-------------------------------------------------
FCRな課長物語 4

人は、苦痛や憎しみ悲しみは脳にしっかり記憶として刻まれるが
気持ちいいこと、そう、快感や絶頂感などは記憶できないと言う。
脳に残るのはあくまでも雰囲気だけ、快感の残滓が霞のように残るだけなのだ。
この事はやっかいな現象を生む、何度でも快感を再現 追求するために、
後悔を先に立てながら、人は狂気のドアを開けてしまう。

150キロを大きく超えた速度、耳元で風は大声をあげ続ける。
エクゾーストからはき出された排気音が遠くから小さく聞こえる。
クレジットカード3枚に満たないタイヤの接地面積の中で問題が起これば、
あっという間にこの大切な狂った時間は終わりを告げる。

日常と呼ぶにはあまりにも異常、慣れることのない慣行
狭まっていく視界の中で緊張と興奮が闘っている。
むき出しにした股間に、猛り狂った風が絶え間ない刺激を与え続け
「もっと開けろ、開けるんだよ」悪魔か?それとも自分の裡なる声か?
ささやきは右手に力をさらに込めさせ、またがる愛機の咆吼は絶叫に変わっていく。

私にとって、FCRは腐った日常と折り合うための大切なバランサーなのだ....


-------------------------------------------------
FCRな課長物語 5

「週何回だよ?俺は月一回もないが」赤い顔をして同期のTが聞いてくる。
「そうだな、やはり週2はやりたいとこだが、最近はせいぜい週1だな、忙しいからな」
「すごいな、うらやましいよ」Tはため息をつきながら感心している。
「余力残せよ、今は人情ないんだから、お前も俺もいつリストラ食らうかわかんないし」
「だよなぁ、もうちょっと嫁さんにもリキ入れるか」Tは気合いが入ったようでひとりガッツポーズをしている。
「俺も明日は4発で行くかなぁ、今日は無理だが」
「よ、よんぱつ〜?」Tは目を白黒させている。
Tはナニの話、私はもちろん例の話、もちろんTは例の事を知らない

今日は行きつけの焼鳥屋で全開バカ話、
たまにはこんな夜もある....


-------------------------------------------------
FCRな課長物語 6

ジャッキアップする、ボルトやジョイント部をゆるめる、各部品をはずしていく、
灯油を張ったバケツに入れる、ブラシでこすり汚れやホコリを落とす、
使い古しのバスタオルをしく、その上に洗った部品を並べる、余分な灯油を拭き取り
偏摩耗やクラック 曲がりがないかすかして見る、摺動部や作動部に給脂し
ネジを軽く締めて組み上げていく、トルクレンチを使い設定トルクでしめる、
もう一度からぶきをした後、再度点検して完了

マニュアルに載ってる点検箇所、自分で点検した方がよいと思える箇所
いつもの順番で、いつものようにバラしてチェック&メンテ
減った部品があれば新品を組み、油脂類は疲弊するはるか手前で取り替える。
望んだときに、望んだ力で、望んだ働きをしてくれるように気を抜かずに手入れをして磨く。
バイクは飛行機と一緒、トラブルが起これば生身の体が地面に叩きつけられる。

日曜の午前中、妻はスポーツジムへ行く
私は同じ時間、死なないためのおまじないを4発に施す....

-------------------------------------------------
FCRな課長物語 7

西への出張から新幹線を使って魔都へ戻る。
早くても遅くても電車は苦手、確かに自分で運転しなくて良いから楽なのだが
新幹線の場合でも個室を取らない限り、だれきった格好もできない
自分で運転する車やバイクならば、走るのも停まるのも自由自在だが
新幹線はいったん乗ってしまうと到着するまで、ソフトな拘束状態が続く
そういったことも、気分的な窮屈さが抜けない原因なのだろう。

普通席に乗っている限り、やはり他人の目から逃げられない。
乗り込むと早々にカバンからポータブルMDを取り出し、ヘッドフォンをかけ、
目をつぶり、自分の中の世界に入り込むふりをする。

車掌の検札を受けて、しばらく流れていく窓外の風景を目で追っていたが
ふいに思いついてトイレに行くことにした。

完全に一人きりになる銀色の空間に入り、ドアにロックをかけて
御子息をチャックの間から、外の空間にご案内する。

景気よく放尿しながら、
「これって風無し振動なし、時速300キロのFCRじゃないか」と気づくのと同時に、
一人ものすごい勢いで吹っ飛んでいく御子息を想像してしまい
あはははと笑い出したのは、言うまでもない....

-------------------------------------------------
FCRな課長物語 8

やけに大人びた声が私の耳に囁かれたのは、高3の春だったか?
友人宅で友人の姉と部屋に2人きり
たった10分かそこらだったけど、やけに長く感じた甘い時間
女性を知る手始めになった優しい思い出だ。

「驚く事はいつも突然に起こるものよ」

なんでこんな時に?友人の姉が囁いた言葉と表情がよみがえる。
30秒ほど前からミラーの中で回っている、赤いライトを見ながら私は苦笑した。

かなり右にスピードメーターの針はかしいでいるが、トップスピードにはまだ50キロ以上の余裕
私はアクセルグリップをストッパーまで一息に開け「じゃ、また」口の中で一言つぶやき、
懸命に追いすがってくる車両をミラーの中から消し去る作業に入った....


-------------------------------------------------
FCRな課長物語 9

目をつい細めてしまうようなまばゆい陽光の下、湿り気の全くない風が新緑を軽く揺らす。
「うん、うまい!」思わず声に出た。
のりを一枚巻いた小さな固い梅干し入りのおにぎり、たくわんが数切れ
ほんのり塩味の玉子焼き、たったこれだけの素材と環境を揃えるだけで
幸せのかなりな部分を手に入れたような気持ちになる。

冷たいお茶を水筒のふたに注ぎ飲み干すと、やたらに空気がうまい
休日でいつもより遅い渋滞の始まった魔都の朝を抜け、郊外へむけて2時間近く走り、
水のきれいな川の土手でちょっと早めの昼食、同行者はS嬢と去年入社のY君、
どちらもにこにことおにぎりを頬張っている。

3日前の昼休み、雑談中にいきなり決まった話
S嬢が見つけた気持ちの良い場所の一つに行ってみようと言う事になったのだった。


-------------------------------------------------
FCRな課長物語 10

「最近2人でよく走ってるの?」と聞くと
「Sさんが、お弁当作るからどこか行こうよってうるさいんですよ」Y君が笑う
「ほぉ〜いいねぇ、おじさんには至極うらやましい話だな」と返すと
2人共やけに照れまくっている、どうやらまんざらでもないらしい。
「ところで、課長は夜に高速飛ばすのがシュミなんでしょう?」と
突然S嬢から剛速球が飛んできた。
剛速球はきれいに命中し、半分飲み込みかけた玉子焼きが完全に気管へ引っかかりむせる。
「課長大丈夫ですか〜?」くすくす笑いながらS嬢が私の背中をトントンたたく
「ど、どこで見たの?」むせながら聞き返すと
「友達と映画見に行った帰りに、車から見ましたよ〜」と

しばらくして、ようやく私は落ち着きを取り戻してから
「そんなに飛ばしてたかな?」と尋ねてみると
「横をすごい勢いで抜いていった瞬間に『あ、課長だ』ってわかりましたよ、
ジャケットとヘルメットの組み合わせ見たときに、そうなんじゃないかなぁ?って」
「そうか、急いでた時かな?世の中は狭いね」ととぼけると
「それにしてもすごいスピードでしたね、あれがFCRのテクニックなんですか?」

もういちど剛速球が命中し、私がむせまくったのは言うまでもない....


-------------------------------------------------
FCRな課長物語 11

ミニツーリングを3台で楽しんだ数日後....

お昼休みもそろそろ終わる時間、いつものようにお茶を飲みつつ雑談
「え、ほんとに?」S嬢は、くりくりした目を大きく開いて興味津々の様子
「うむココだけの話、脱がないけど丸出しなんだよ」真面目な顔で答える。
「だからフリ・チン・ライドの頭文字取ってF・C・R」さらにたたみかける。
S嬢の顔がみるみるうちに赤くなり、両方の頬が風船のようにふくらんだかと思うと
「ぷ〜〜っ!!!」っと吹き出し、大笑いを始めた。
「も〜!課長ってば、それオヤヂギャグですよ、おかしー!」涙流して笑っている。
「絶対、課長ってばオヤヂ〜、セクハラですよセクハラ、あははは」

父親の教えに救われるのは何回目だろう。
「女性に話をするとき、本当の事にしたい話は冗談にして言え、
ウソにしたい話は真面目な顔をして言え」
社会人になった春、女性への心構えだぞ、と父親が切り出した後に続いた言葉だ。
それ以来、私にとって重要な座右の銘になっている。

S嬢は完全に冗談だと思いこんだようで、まだケラケラ笑っている。
私は心の中で、ホッと安堵のため息をついた...


-------------------------------------------------
FCRな課長物語 12

淡いペパーミントグリーンに塗られた壁を見ながら、小用を足していた。
ふいに、横に並んだ社員から声をかけられる。
「課長のバイクって、ノーマルのCVキャブですよね?」
隣を見ると、Y君がこちらに視線を向けず同じように小用を足している。
「ああ、そうだよ、ジェットは換えてセットは一応出してるけどね」平静を装いながら答えると
「やっぱりそうだったんですか、全て了解です」

ん?何を了解したんだ?と聞こうと思ったが、Y君はそそくさと手を洗って出て行った。

ポ〜ン、小さな着信音がして机の上に置いているノートPCにメールが届く。
「Fの件、社内情報保護規程によって処理しました、次回は並列実行でよろしくお願いします」
誰かが盗み見ても把握できない内容、発信者はY君である。
苦笑いしながらノートPCを閉じ、顔をあげると10mほど離れた机から
Y君が妙に真面目な顔で目礼するのが見えた。
私もY君にだけわかるように、かすかにうなずいた。

Y君も愛好者だったのか...私はくすりと笑った....


--------------------------------------------------------------------------------------------------
--------------------------------------------------------------------------------------------------
FCRの係長物語 1            △このページの目次に戻る△

「ここから先は無理ですねぇ・・・」
道を塞ぐ土砂を見ながらつぶやく。
アクセルを開け、砂利を飛ばしながらターンし、
木々の間にTS200Rの2ストサウンドを響かせながら来た道を戻る。
「林道が舗装されるのはイヤですが、管理が行き届かないのもどうかと思いますねぇ・・・」
Araiのオフメットの中で独り言をつぶやく。
少し広くなっている路肩に色の褪せた黄色い車体を寄せる。
「さて、どうしましょうか・・・」
目指していたポイントまでの道を塞がれていた為、
帰るか別のポイントを探すかの2択を迫られる。
「ガレているところで出すと危険ですからねぇ・・・、
来週から新しいポイントでも探すとしますか・・・」
帰ることを決め、少し頼りないキックを踏み込む。
10年間、共に走りつづけたエンジンが目覚め・・・
「あれ?変ですね・・・」
さらにキックを繰り返す。
2回・・・3回・・・

5分ほどキックを繰り返しても火が着く様子が無い。
「プラグですかね・・・。ま、時間はありますから替えますか・・・」

単気筒の振動とダートの振動に見せられた係長は、
FCRできる林道を求めて今日も走りつづける。


-------------------------------------------------
FCRの係長物語 2

無料の解放区、監視員もいない河川敷のモトクロスコース。
まだ朝靄がかかっており、休日でもまだ人はいない。
ニーシンガードをつけインナープロテクターを着込む。
「オフロードはきちんとガードを着けないと・・・」
ダートの恐ろしさは分かっている。
オフブーツを履き準備完了だ。

愛車に跨りキックを踏み込む。
人気の無い河川敷に軽快な2ストサウンドが靄のかかった空気を振るわせる。
大き目のサイズのジーンズのファスナーを下ろし・・・出す。
今までは隠されていた場所が冷たい朝靄の残る空気に触れる。
「さて、行きますか・・・」
倒立サスを押し込んだ反動でフロントを上げTS200Rがコースに飛び出していく。


-------------------------------------------------
FCRの係長物語 3

ウォッシュボードと簡素なジャンプがあるだけの単純なコースだ。
色褪せた黄色い車体は朝靄を切り裂きながら疾走する。
コーナーではリーンアウトで横Gを存分に感じながら土を横に跳ね飛ばす。
暴れる愛車をなだめすかしながらコーナーを駆け抜ける。
(やっぱりFCRはダートですね。たまりません・・・)
脳内で確認しながらジャンプへと突き進む。
前輪がジャンプ台から飛び出した瞬間にアクセルを全開にする。
黄色いTS200Rが朝靄の中、宙を舞う。
(コレは林道には無い感覚です!!)
下降しながら感じる無重力感。
林道では味わえなかった感覚。
そして着地。

「★○&%※#¥$!?」
目の前で星が飛ぶ。
宙に浮いたナニが着地の衝撃で下に振り下ろされ、今までに無い衝撃で股間に打ちつけられた。
股間に受けた衝撃に対して脳が「止まれ!」以外の命令を出せない。
横滑りしながらようやく止まる。
「〜〜〜っ!?コレはたまりません・・・」
脂汗と共にやっと出せた声だった。


-------------------------------------------------
FCRの係長物語 4

夕暮れのオフィス、ブラインドの隙間から赤い光が差し込む。
「おつかれさまで〜す!」
去年入社したY君が足早にオフィスを後にする。

「D君、ちょっといいかな?」
課長が私を呼ぶ。
「はい、何でしょう」
課長のデスクまで行き用件を聞く。
「月曜の昼までに、この処理をお願いしたいんだけど。いいかな?」
課長に渡された書類に目を通す。
(これなら今日残業して終わらせておいた方がいいですね・・・)
時計を見て終わる時間の目処をつけ課長に告げる。
「はい、月曜の昼までには終わります」
「それじゃ、よろしく頼むよ。私はこれで失礼するから」
そう言うと課長はハンガーにかけてあったジャケットを羽織る。

「あ〜、課長。もう帰っちゃうんですかぁ?」
帰り支度をする課長を見つけてS嬢が呼びかける。
「ハハハ、たまには早く帰ってもいいじゃないか」
S嬢には背中を向けたまま課長が答える。
私は残った仕事を片付けようと自分のデスクに戻ろうとした。
「帰りにFCRでもするんですかぁ〜?」


-------------------------------------------------
FCRの係長物語 5

「「!?」」
私と課長は同時にS嬢の方に振り返った。
「そうだなあ、それもいいな。一緒にやらないかY君でも誘ってみるか」
課長は真面目な顔で答える。
それを聞いたS嬢は書類を両手に抱えたまま笑っている。
「も〜、課長ったら。アハハハ。も〜、おっかしい!」
このやり取りの間、私は固まってしまっていた。
(FCR?課長が?まさか!なぜS嬢がFCRを?)
背中に冷や汗をかきながら思考が脳内のオーバルコースを駆け巡っていた。
「じゃあ、おつかれ〜」
携帯電話を弄くりながらオフィスを後にする課長。
「ああ、Y君?私だけど、今仕事が終わってねぇ。よかったら、これから・・・・」
先に帰ったY君に電話をする振り[推測だが]をしながら帰っていく。
オフィスに残ったのは私と、まだ笑ってるS嬢だけ。
そのS嬢が私に話し掛ける。

「は〜、苦しい。係長、FCRってご存知ですか?」
「えふしいあある・・・ですか?何でしょう、それは」
できるだけ知らない振りをして平静を装いながら答える。
この間も冷や汗が背中を伝い落ちる。
「課長に聞いたんですけど・・・出すんですよ」


-------------------------------------------------
FCRの係長物語 6

(!?)
やはり私の知っているFCRだ。
課長は部下の女の子に話して平気なのだろうか。
思考がまとまらない。
もうひとつ、とぼける事にしよう。
「出す・・・って、何をですか?」
「何って、ナニを・・・って女の子に何を言わせるんですか!?セクハラですよ?アハハハ!」
ここは何も知らないことにする方が良さそうだ。
少し首を傾げながらS嬢に話し掛ける。
「ん〜、何だかよく分かりませんが。とりあえずこの書類のコピーをお願いします」
「〜〜っ!分かりました。ぷっ。一部ずつでいいですか?」
顔を真っ赤にして笑いをこらえながらS嬢は書類を受け取る。
「はい、お願いします」
S嬢は肩を震わせながらコピー機に歩いていった。


-------------------------------------------------
FCRの係長物語 7

S嬢はコピー機に向かいながらまだ笑っている。
私は自分のデスクで頭の中を整理する。
(課長がFCR愛好家?そんなバカな。会社にバレるとマズイはずだ。
しかしS嬢にはFCRを説明している・・・)
「コピー終わりました」
S嬢がコピーを終わらせた書類を持ってきた。
笑いはおさまったようだが、まだ少し顔が赤い。
「ああ、ありがとうございます。助かります」
S嬢はニコッとした後、帰り支度を始める。

「それでは、お先に失礼しま〜す」
「お疲れ様でした」
S嬢が帰る頃には、私の思考も幾分落ち着いてきていた。
(ま、課長が仮に愛好家だったとしても私とは走るステージが違うから大丈夫)
自分を納得させたが、あのやり取りは体に悪い。
15分ほどの会話だったが3時間にも4時間にも感じられた。
「それよりも、新しいポイントを見つけなくてはいけませんねえ」
独り呟いて残業に取り掛かる。


-------------------------------------------------
FCRの係長物語 8

「まさか・・・ここまで・・・」
とある林道のフラットダートは、
途中で味気無い黒い道へと姿を変えていた。

小雨の降る休日、以前行ったことのある林道へと出かけた。
少しガレた登りのセクションを抜け、
フラットなダートに入る前に愛車を止める。
「ここならば、思う存分いけますね・・・」
チャックを下ろし・・・出して、バイクに跨る。
小気味良い2ストサウンドと共に非日常の世界が始まる。
しかし、2つ目のブラインドコーナーを曲がったところで、
官能の世界は終りを告げた。

小雨に打たれながら呆然とする。
ダートとアスファルトの三叉路。
下る道は舗装されていたが、直進は以前はダートだった。
「これも、時代の流れですか・・・」
その時、正面からバイクのエンジン音が聞こえた。


-------------------------------------------------
FCRの係長物語 9

直線の先には、もうバイクが見えている。
突然の来訪者はエンジンの回転数を上げずに静かに走っていた。
発見が遅れたのはそのためだ。

慌てて出していたモノを仕舞う。
素早く中に入れ(たつもりで)チャックを上げ・・・。
「〜〜ぐっ!?がっ!!」
勢い良く上げたチャックは半分で、その動きを遮られた。

目の前にバイクが止まる。
見慣れたシルバーのCB400SSだ。
「あれ?係長じゃないですか?」
ヘルメットのシールドを上げたライダーの顔を見る。
S嬢だ。
半分しか閉まらなかったチャックの上半分は、
レインスーツの上衣でなんとか隠せた。


-------------------------------------------------
FCRの係長物語 10

「Sさんですか・・・っ。こんなっ、ところで何してるんですかっ?」
できる限り平静を装いS嬢に話し掛ける。
「ツーリングから帰るとこです。係長は・・・
あ〜、後ろの林道走ってきたんですね?」
S嬢は私の後ろに視線をやり問い掛ける。
「そうですっ。これからっかっ帰るとこですっよ?」
「だったら一緒に帰りましょう♪」
聞き間違いであって欲しい言葉がS嬢の口から飛び出す。
念の為、聞き直す。
「はい?今っ何と?」
「だから、一緒に帰りましょうと言ったんです♪」
やはり聞き間違いではない。
帰るといってしまった以上、この死刑宣告のような提案を断ることはできない。
ここで残された選択肢は2つになる。
来た林道を帰るか、ワインディングを下って帰るかである。
林道で帰ると言ってもCB400SSなら走れないことはないだろう。
だが、S嬢は初心者な上、私の股間の状態も林道を走ることを許さなかった。
選択肢は無くなった。


-------------------------------------------------
FCRの係長物語 11

直線と、きついコーナーの繰り返し。
加速Gと減速Gの繰り返しである。
現在の股間の状態にはよろしくない道だ。
TS200RはS嬢のマシンよりパワーもあるし車重も軽い。
前を走るS嬢を抜き去ってしまおうかとも思ったが、
濡れた舗装路にエッジでグリップするオフロードタイヤは頼りなさ過ぎた。

S嬢の運転に合わせて30分ほど下ったところで「道の駅」を見つける。
(ここしかない!)
入る意思をS嬢に伝えるため左ウインカーを点滅させ身振りで道の駅を示す。
CB400SSの左ウインカーが点滅・・・しない?
初心者のS嬢には後ろを見る余裕が無かったようだ。
S嬢はそのままのスピードを維持しながら道の駅を通過する。

(マジですか!?)

悪意の無い拷問が終わったのは更に1時間後であった。



--------------------------------------------------------------------------------------------------
FCRの係長物語  12                △このページの目次に戻る△

抜けるような秋空の下、誰も居ないビルの屋上。
一人でメロンパンを齧っていると胸ポケットの携帯が震える。
メールの着信・・・課長からだ。
(本日20:00より、6階会議室で極秘プロジェクトの打ち合わせを行う。
各員、プロジェクトの存在を漏らさぬようにして集合すること。時間厳守!Hより)
「極秘プロジェクト・・・一体何なのでしょうか・・・?」
メロンパンの包装を上着のポケットに入れ、内ポケットから煙草を取り出す。
慣れた手つきで火を着け、深く吸い込みゆっくりと吐き出す。
(クリスマスと年末年始の打ち合わせは途中ですし、社内で極秘にするようなことでもありませんし・・・)
紫煙を味わいながら思案に耽ってみるがプロジェクトの見当がつかない。
「ま、行けば分かりますか・・・」
短くなった煙草を灰皿に捨て、午後の仕事に取り掛かるために階段へと向かう。

-------------------------------------------------
FCRの係長物語 13

予定の時刻より少し早めに会議室へ向かう。
会議室のドアを開けると中では相談役が椅子に座って待っていた。
「A相談役!お疲れ様です!」
「うん、お疲れ様。そんなかしこまった席ではないから君もかけたまえ」
「はい、では失礼します。A相談役と会うのは久しぶりですね?」
と、相談役に話し掛けると相談役は笑いながら答えた。
「先週の金曜の夜にすれ違ったばかりではないか。ハッハッハ!」
一時停止した思考を再び動かし、記憶の巻き戻しを図る。
(先週の金曜の夜と言えば・・・峠で出して・・・あ!)
「まさか・・・あのMH900eが・・・」
「そう、ワシだよ」
「その上のパーキングには俺もいたけどね」
新しく聞こえてきた声の方を振り返ると、何時の間にか課長が来ている。
「あの峠の下りをあんなに派手に降りていくのはD君ぐらいだと思っていたが、やっぱり君だったのか」
「あのパーキングに止まってたのは課長だったんですか!?」
と課長に言ったところでドアが開く。
「お疲れ様です・・・って係長も・・・え!?相談役!?」
入ってくるなり慌てふためくY君の姿があった。
「これで全員揃ったんだね?H君」
「はい、これで全員です」

-------------------------------------------------
FCRの係長物語 14

相談役が椅子に深く座りなおす。
「で、極秘プロジェクトとは何なのですか?」
課長と相談役に問い掛ける。
二人は視線を合わせると、どちらからとも無く笑い始めた。
先に話を始めたのは課長だった。
「ハハハ、極秘プロジェクトと書いたのは少し大袈裟だったかな」
「まあ、しかし他の人間に知られるとまずいのは確かだろう」
続けて相談役が口を開く。
私とY君は二人の様子をぽかーんと眺めているばかりだった。
「ま、仕事の話では無いから二人とも楽にして」
課長に促され楽な姿勢を取る。
Y君も、その言葉を聞き頬杖をつく。
そこで相談役が話し始めた。
「君たちに集まってもらったのは他でもない。実は我々で趣味のサークルを作ろうと思ってな」
かけていた椅子から尻が滑りそうになる。
Y君もついていた頬杖から頭が落ちた。
「な・・・!?」
相談役に抗議めいた疑問を投げかけようとすると課長がそれを制した。
「我々には共通の趣味があるんだよ。それも人に言えないような・・・」
課長の言葉を反芻し理解するまで若干の時間を要した。

-------------------------------------------------
FCRの係長物語 15

「え!?ま、まさか・・・」
私の言葉を受け課長が頷く。
相談役の方を見ると微笑みながら二度三度と頷く。
Y君の方を見ると、ようやく話を理解したようでこちらを見ながら口をパクパクしている。
そのうちY君が課長の方を見ながら右手でアクセルを捻り、左手でチャックを下ろす動作をする。
無言で、だが力強く課長が頷く。
これで予感が確信に変わる。
ここにいる4人全員が共通の趣味で繋がった。
無言の確認が終わったところで相談役が続ける
「で、どうだろう?我々でサークルを作ってみんか?もちろん社の方から予算などは出んが」
今まで誰とも分かち合えなかった喜びや感動を分かち合える。
そのことは素晴らしいことだと思う。
だが、どうしても一つだけ確認しておきたいことがあった。
少しだけ考えた後、その疑問を相談役にぶつけることにした。
「趣旨は分かりました。しかし一つ疑問が残るのですが宜しいでしょうか?」
「なんだね?言ってみなさい」
「はい。このサークルは一応社内組織と言うことになるのですか?」
「!?・・・どうなるのかね?H君」
「!?・・・そう言われましても・・・」


--------------------------------------------------------------------------------------------------
103 名前:FCRの係長物語16[] 投稿日:04/02/05 00:20 ID:BiFWb36d

鉛色の雲が空に広がる朝。
待ち合わせをしているロー○ンの駐車場で紫煙を燻らせる。
少しすると青いバイクが入ってきた。
「すみません。遅くなりました!」
出せそうな林道があるらしいので、今日はY君と出しに行く。
「構いませんよ。では行きましょうか」
「はい!今日行くところはサイコ―ですよ」
Y君の一言に胸を期待を高め愛車に跨る。
キックを力強く蹴りエンジンをかけローソ○の駐車場を飛び出した。

ワインディングをY君と一緒に登って行く。
周りの景色が白くなっていく。
(・・・景色が白くなってますが大丈夫でしょうか?)
前を見るとY君も周りをキョロキョロと見ている。
手を振りY君を路肩に寄せ話し掛ける。
「雪が積もってるんですけど大丈夫ですか?」
「いやぁ〜、夏に来た時にはすごくいいところだと思ったんですけど・・・」
「!?夏・・・ですか?」
「はい、夏でした!」
「今は・・・雪が積もってますね」
「はっ!そうでした・・・どうしましょう」


-------------------------------------------------
104 名前:FCRの係長物語17[] 投稿日:04/02/05 00:24 ID:xxR4duPE

とりあえず行けるところまで行ってみようということになったので、
路面状況に気を付けながら先に進む。
路面には轍ひとつ無い、積もった雪。
降ってくる雪の量が増えてきたため視界も悪い。
(まずいですねぇ、風も出てきましたし。ここらで引き返したほうが・・・)
そんなことを思っていると、前を行くY君が路肩に寄る。
(Y君も引き返そうと思ったみたいですね。)
Y君がバイクを降りてこちらに駆け寄ってくる。
「この辺からですよ、係長!出しましょう!」
「・・・は?」
Y君の言葉に耳を疑う。
「ほら、係長も早く!」
Y君はチャックを開け、自分のモノを出している。
彼はこの状態で出して走ろうというのだろうか?
「しょっ、正気ですか?こんな天気でこんな路面状態だというのに!」
「何を言ってるんですか?そんなことではFCRの極みは見えませんよ?」
極みが見えるより三途の川が見えるのが先だと言うことは考えないのだろうか?
それとも、若さ(プライスレス)のなせる業なのだろうか?
Y君は自分のバイクの方に走っていった。


-------------------------------------------------
105 名前:FCRの係長物語18[] 投稿日:04/02/05 00:27 ID:xxR4duPE

そのとき、Y君が短い悲鳴と共に消えた。
周囲が静寂に包まれる。
聞こえるのはD−トラッカーのアイドリング音と風の音だけだ。
「・・・Y君?」
呟くように呼んでみるが返事は返ってこない。
Y君が消えたあたりに近づいてみると、草の上に雪が積もった部分があった。
そこと道の区別が付かずに足を踏み入れたらしい。
2mほど下でY君が仰向けに倒れていた。
「Y君!生きてますか?」
返事が無い、ただのしかb・・・
いやいや、それはまずい。
物理的な刺激を与えてみようとY君に雪玉を投げてみる。
ヘルメットに当たるがY君の反応が無い。
刺激が足りなかったようなのでもっと刺激を与えられそうなところを探す。
すぐに見つかった!
そこに狙いを定め全力で投げつける。
中学時代、ピッチャーとしてならした肩はいささかの衰えも見せない。
スピードガンで計測したら3ケタは下らなかっただろう。
雪玉は狙い通り露出した局部にクリーンヒットした。
股間を押さえ転がりまわるY君。
よかった、気が付いたようだ。
生きてるって素晴らしいと実感した一瞬だった。

-------------------------------------------------
part2へ→ 

△2ch小部屋へ戻る  △△トップへ戻る